こんにちは!INUMESHIのもんど店長です!
わんちゃんが身体を痒がる姿を見て「もしかしてアレルギー?」と心配になったことはないでしょうか。
人では、花粉症や喘息などアレルギーによって起こる病気があるように、わんちゃんにもアレルギーによって引き起こる病気があります。
生まれつきアレルギーのわんちゃんもいれば、高齢になってから発症することもあるため、今は健康でも油断は禁物です!
また、飼い主さんが気づかないうちにアレルギーを発症しているケースもあるのです。
どのようなアレルギーがあり、症状や原因・対策などを知っておけば、わんちゃんの異変にいち早く気づくことができます。
そこで今回は、わんちゃんにもっと多いとされる「アレルギー性皮膚炎の症状と原因、その対処法について」ご紹介します!
犬のアレルギー性皮膚炎
まずはアレルギーのしくみを知っておきましょう!
生き物には、体内に侵入する異物(花粉、ハウスダスト、カビ、ウイルスなどのアレルゲン)から身体を守る抵抗力である「免疫」があります。
ところが、この免疫のしくみが、食べ物や花粉、ハウスダストマイト(室内に生息しているチリダニ)など、本来なら体に害のないものに対して過剰に免疫が働いてしまうことで、体にとってマイナスの症状を引き起こしてしまうことをアレルギーといいます。
アレルギーの原因となる物質はアレルゲンといいます。
花粉、ダニ、ハウスダスト、食物など、わんちゃんの身のまわりには多くの種類のアレルゲンがあります。
アレルゲンが体内に入ってくると、これをやっつけようと「IgE(アイジーイー)抗体 」というタンパク質がつくりだされます。
このIgE抗体は、皮膚や粘膜に多くあるマスト細胞の表面に、まるでアンテナのように張りめぐらされています。
再びアレルゲンが侵入してきて、このIgE抗体のアンテナにひっかかり結合したとき、マスト細胞の中につまっているヒスタミンなどの化学物質が一気に放出されて、かゆみなどの症状があらわれてくるといわれています。
アレルギー性皮膚炎の種類
わんちゃんのアレルギー性皮膚炎は、主に下記の3つに分類されます。
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- ノミアレルギー性皮膚炎
その中でも「アトピー性皮膚炎」は環境中のさまざまなアレルゲンが原因となるため最も多く、次いで「食物アレルギー」が発症しやすい傾向があります。
「ノミアレルギー」は季節や地域によって発症頻度が変わります。
また、近年は「アトピー性皮膚炎」と「食物アレルギー」を併発しているケースが増えてきています。
まずは、それぞれのアレルギーの原因と症状についてご説明します。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、主に花粉、カビ、イエダニ、動物のフケ(皮膚片または毛断片)などの環境アレルゲンに対するアレルギー反応です。
皮膚のバリア機能が先天的に弱く、アレルゲンが皮膚から体の中に入りやすいことも原因の一つと考えられています。
アレルゲンによっては季節性を示すことがあります。(スギ花粉が原因であれば春先など)
また、夏場の高温多湿や、冬場の乾燥が症状の悪化に関与することもあります。
完治の難しい病気であるため、うまく症状をコントロールしながら付き合っていく必要があります。
生後6ヶ月~3歳以下のわんちゃんで発症することが多いとされ、アトピー性皮膚炎には遺伝が関与しているといわれています。
柴犬、ウエストハイランドホワイトテリア、シーズー、トイプードル、パグ、フレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバーなどが、特にアトピー性皮膚炎にかかりやすい犬種としてあげられます。
症状は、顔周辺、足、下胸部、腹部に生じる痒みです。
搔いたり舐めたりする行動から始まり、その後皮膚の赤みや脱毛、フケ、ひっかき傷などが認められ、慢性化すると皮膚が黒く分厚くなります。
慢性的な強い痒みのために頻繁に掻いていると、脱毛につながるおそれもあります。
食物アレルギー
食物アレルギーは、食べ物の成分(多くはタンパク質)に対するアレルギー反応です。
一般的なアレルゲンは、牛肉、乳製品、穀類(小麦、穀物、大豆)、鶏肉、卵とされています。
食物アレルギーのはっきりとした原因は判明していませんが、免疫系の異変により特定の成分を異物として認識し、この認識された侵入者を攻撃排除するために炎症が起こると考えられています。
1歳以下から発症する子が多いですが、どの年齢でも見られます。
通年性の痒みを認め、季節での変化は基本的にみられません。
また、新しい食事だけでなく、数年間食べ続けていた食事が原因となる可能性もあります。
柴犬、アメリカンコッカースパニエル、ミニチュアシュナウザー、ダックスフンド、ゴールデンレトリバー、パグなどが、特に食物アレルギーにかかりやすい犬種としてあげられます。
症状は、耳、眼周囲、足先、肉球の間、間擦部に生じる赤みや痒みです。
搔いたり舐めたりする行動から始まり、下痢や嘔吐などの消化器症状が見られるます。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液に対するアレルギー反応です。
ノミは、室内のカーペットやソファ、人間のベッド、犬の寝床、床、湿気のある場所、室外では直射日光のあたらない草むらに生息している可能性があります。
温度は18~27℃、湿度は75~85%が繁殖しやすいといわれるため、梅雨の前後~秋の終わりに増える傾向があります。
ただ、最近は冬でも温暖化の影響や家の温度が暖かいことなどから繁殖できるため、1年を通して発症する可能性があります。
症状は、全身に生じる非常に強い痒みです。
特に、背中、後ろ足、腹部、尾部にかけて脱毛や赤み、ブツブツといった症状が出やすいのが特徴的です。
ノミアレルギー性皮膚炎にかかったペットの体表には、ノミやノミの糞(ノミの糞便は黒い点のように見えます)が見られる場合があります。
寄生しているノミの数は、ペットが身体を常になめたり噛んだりしている様子から想像するより、ごく少ない場合がほとんどです。
それぞれの治療法と対処法
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、環境アレルゲンを完全に除去することが難しいため、完治が難しいとされています。
症状を抑える方法は、以下にあげるように数多くあります。
シャンプーによる治療
アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能の低下や異常も関与しているため、スキンケアは重要な役割を果たすといわています。
肌の弱いわんちゃんには、刺激が少なく、皮膚バリアを考えたセラミドなどを配合した保湿成分の高い低刺激性の製品を選ぶようにしましょう。
薬用シャンプーを使用する場合は、どの種類が良いかなど、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
また、アトピー性皮膚炎のわんちゃんをシャンプーする際は、ゴシゴシ洗いや、熱いお湯で皮膚・被毛を濡らしたり、熱風のドライヤーはNGです。
これらは、摩擦や熱により赤みやかゆみを強くさせてしまう可能性があります。
シャンプーは優しく行い、わんちゃんの体温より低いぬるま湯で皮膚や被毛を濡らしたり、ドライヤーは温風と冷風を使い分け、近づけすぎないようにしましょう。
また、シャンプーの泡を全身に付け、5〜10分置くことでシャンプーの成分を全身に浸透させる効果があります。
薬用シャンプーを使用する際は、特にこの時間が重要になります。
使用方法の時間に沿って、シャンプーの付け置きを行いましょう。
生活環境から可能な限りアレルゲンを除去
アトピー性皮膚炎を起こすアレルゲンは、花粉、ダニ、カビなど様々です。
これらのアレルゲンを完全に除去することは難しいのが現状です。
ですが徹底的な部屋の掃除、クッションやカーペットを使用しない、またはこまめに洗濯する、空気洗浄機を使用する事で、いくらかアレルゲンを回避することは可能となります。
「早期介入療法」といって、原因となるアレルゲンが雑草や樹木である場合には、その花粉が飛散する前後に抗ヒスタミン剤による処置を行うと発症を抑えられる事もあります。
薬や注射による治療
痒みや炎症を抑える内服薬や外用剤や使用します。
また、痒みを抑える注射薬を使用することもあり、1回の注射で約1ヶ月と長期間かゆみを緩和できるので、定期的な通院や投薬が難しい場合に有効です。
ただし、対症療法のため完治させることは難しく、薬をやめるとまた症状があらわれるため、生涯投薬が必要になることが多いです。
長期ステロイド投与による副作用(胃・十二指腸障害、肝障害、医源性クッシング病など)の問題も生じてきます。
また「減感作療法」といって、アレルギー反応の原因になっているアレルゲンを繰り返し体内に入れることにより、アレルギーの原因となっているアレルゲンに対して別の新しい抗体である「IgG抗体」が作られ、アレルゲンより先にIgE抗体にくっつくことにより、アレルゲンとIge抗体との結合を防ぎ、アレルギーを起こしにくい体質に改善していく免疫療法があります。
その効果は個体差がありますが、アトピー性皮膚炎を患うペットの約75%で、症状の軽減がみられています。
食物アレルギー
食物アレルギーは、「除去食試験」といって、今まで食べていたフードやおやつをすべて洗い出し、摂取したことのある成分、特にタンパク質を確認したあと、食物アレルギーの原因となる成分が入っていないフードと水だけを1ヶ月間ほど与え、皮膚炎の改善があるか調べる検査です。
アトピー性皮膚炎とは違い食物アレルギーは、それのみならば基本的に完治します。
食物アレルゲンを含まない食事に変更する事により、皮膚炎は改善していきます。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、有効な治療法がなく、ノミ咬傷に対するアレルギー反応はなくなりません。
そのため、ノミが身体に付かないように継続的に予防することが重要となります。
治療法は、まずノミの駆除を行います。駆虫薬にはスポット剤や内服薬があります。
また、症状にあわせてステロイド剤でかゆみを抑えたり、ブラッシングやシャンプーでノミやノミの糞を除去することもあります。
同居動物がいる場合は、感染している可能性が高いため一緒に駆虫します。
ノミは非常に繁殖力が強いため、治療だけではなく室内の清掃を徹底したり、お散歩コースを見直すことで寄生を予防します。
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを併発している場合
近年、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを併発しているケースが増えてきています。
アレルギーを併発しているのわんちゃんには、まず食物アレルギーの治療を行なっていきます。
食物アレルギーの治療法である除去食療法は、1ヶ月ほどで効果が現れ痒みなどが治っていきます。
ここで残った痒みがアトピー性皮膚炎による痒みと考えられます。
ですので、食物アレルギーに対しての食事療法と、犬アトピー性皮膚炎に対しての内科治療の両方を行う必要があります。
アレルギー性皮膚炎の検査
アレルギー検査には、皮内反応検査、アレルゲン特異的IgE検査(血液検査)、リンパ球反応検査(血液検査)があります。
症状や治療反応、また検査費用などをかかりつけの動物病院と相談して、どの検査を行うか決めていきます。
皮内反応検査
アトピー性皮膚炎には細菌や真菌感染、ダニの感染が併発しているケースが多く、これらが治療を複雑にしています。
皮膚層の中に少量のアレルゲンを注射し、一定時間内に赤みや膨らみの程度によりそのアレルゲンに対するアレルギー反応を判定します。
アレルゲン特異的IgE検査
環境中や食物中にあるアレルゲンに対する血清中のIgE抗体の濃度、または量を測定し、アレルゲンを特定します。
一度に複数のアレルゲンを調べられます。
特にアトピー性皮膚炎の診断には欠かせませんが、食事性アレルギーの場合に抗体が検出されにくいことと、費用が高額なのが欠点です。
リンパ球反応試験
食物アレルギーで起こる皮膚炎は8割がリンパ球の反応で起こると言われています。
食物アレルギーのみに対応する検査で、リンパ球が過剰反応している食物中のアレルゲンを特定します。
動物病院によって上記以外の検査を行う場合もあります。
まとめ
わんちゃんのアレルギーには様々な種類があり、原因や対処法もそれぞれ異なってきます。
すぐに完治するのが難しく、治療など根気強く行なっていく必要があります。
ですが、適切な治療を継続することで症状を緩和、コントロールすることで、わんちゃんへの負担やストレスを減らしてあげることはできます。
「完治しないから」と諦めるのではなく、少しでもわんちゃんが快適に毎日を過ごせるように、対策をしてあげましょう!